十で神童、十五で才子、二十過ぎればただの人

というわけで僕ももうただの人の部類に入ってるんですけど。

でもさ、確かに小学生とか見ててすごいって思うよね。例えばさ、音楽会。あれって「音楽会しまーす」って先生が言ってから本番までの期間ってあんまりないよね。二か月とか、あっても三カ月程度。で、本番まで超スパルタ。できないと居残りとかさせられるし。大して意味のわからない指揮棒とか見ながら演奏して、とちったりするとすんごい怒られんの。小学校2,3年まではリコーダーだったりピアニカだったりするんだけど、高学年になるといろんな楽器が出てくるのね、レパートリー別に分かれて。当然みんな初めて触る楽器だから最初は面白くてはしゃいでても、いざ演奏となったら全然弾けない合わない。で、先生のスパルタ、楽器に飽きてきて見るのもイヤになってくる。

でも結局子供は覚えちゃうのよね。実際僕も小学4年5年6年とトライアングル、バスアコーディオン、木琴とやりました。どれも最初はまったくできなかったんだけど、練習しているうちにどんどん上達してきて最後には弾けるようになってしまいました。今この年でやれと言われたらトライアングルくらいはできるかもしれないけど、バスアコーディオンとか木琴とかなんて全然できないだろうなぁ。今の自分と小学生だった頃の自分。何が違うんだろう。

端的にいえば頭の柔らかさだと思う。十五で才子とも書いたけど、結局のところ十代の頭の柔らかさって、大人になって生きていく上で必要になる最低限の知識を得るためのものだと思うのね。年上の先輩に羨望を抱いたり劣等感を抱いたりするのって、それだけ十代の頃の一年間、二年間って大きいもんだからっていうことだと思う。

―――つっても二十歳になれば、当り前のことができて当たり前になってしまう年。アレしたから誉めてあげるーだとか、コレできたからスゴイねーなんて言ってもらえなくなる。二十歳過ぎればただの人。昔の人はよく言ったもんだ。