僕のワークスペース


僕の使ってる机は二月堂の文机です。祖父がまだ健在だったころ、京都の民芸品店で祖母とさんざん喧嘩しながら買ったらしい。祖父もこれで書き物をし、祖母もこれで書や俳句や俳画を描いたりしていたようです。そして今では受け継がれて僕のワークスペースとなっているわけです。

この二月堂、ルーツを知りたくなり調べてみた。するとこの机には1000年以上の歴史がある机らしい。googleにて「二月堂 家具」とお調べいただければわかると思いますが、どうも奈良・東大寺にそのルーツがあるようです。

東大寺のお水取りという春の訪れを大松明で祝うお祭り。2001年に1250回を迎えたそのお祭りでは要となる十一人の僧侶を練行衆と呼び、その練行衆が食堂の食事作法で用いる机であることがこの机の名の由来らしい。

で、この机。買った当時は二万円したらしい。今の物価が当時の物価と比べてどれくらい膨れ上がっているか分りませんが、四十五年前で二万円といったらかなりの高額ではないでしょうか。そりゃ喧嘩もするわな。

今この机を買おうとしたら、ブラックウォールナット+赤木明登デザインで189,000円!ついこないだまでオーダメイド専門店で「畳の部屋にも合うライティングビューロが欲しい」と言っていましたが、どんなに素材にこだわろうと、どんなに塗装にこだわろうとライティングビューロの値段って17〜8万が頭打ちなんだよね。そう考えるとこんなにいいものを持っているのに、また新たに机を買うなんてバカらしくなってきました。

今のこのワークスペース、煙草は吸えるわお茶は飲めるわ勉強ははかどるわで言うこと無しです。で、この歴史を知ったらもう充分。この机から僕の人生は書き出されていくんじゃないかな。