パーキンソン病の方の手伝い

今日、入院時代にお世話になった方に頼まれて、整骨院と歯医者へ行くお手伝いをしてきました。その方はパーキンソン病で、入院していたときは杖をついて歩いていたのですが、一年弱経った今となっては、車いすなしでは移動できない体になっていました。自力歩行ができなくなっていたんです。電話の声もなんだか元気がないなあと思っていたんですが、これほどまで病気が進行しているとは。


今日は整骨院→歯医者→買い物とお付き合いさせていただきました。移動はすべて車いす。転倒しそうになった瞬間は何度もありました。どうも見ていて思ったのですが、最初の一歩がでないんですね。足がいうことをきかずに、気持ちばかりが前に出て、結果的に転ぶ。そういう印象を受けました。歩幅もせまく、見ていると危なっかしくてしょうがありませんでしたが、どうも利かないのは足首から先のようで、それより上の腿や膝などは自由に動くようです。炊事はできるようで、やかんでお茶やコーヒーを沸かしてごちそうになりました。

しきりに晩御飯を御馳走したいと言ってくれたのですが、僕の祖母も糖尿病で、インシュリンを打つとすぐ食べなければならないのでお断りさせてもらいました。家に独りで話し相手もそういないので寂しいという心は十分にわかってはいたのですが、僕の祖母もこれから独りの時間が増えていく人なので、せめて僕が一緒にいる間はなるべく一緒にいてあげたかったのです。

最後にお土産として持たせてくれたのは僕の大好きな柿の種。入院中、必ず売店で買っていたお菓子です。腹減ってばっかりだった僕はその方からよく柿の種をもらっていました。退院した後も、柿の種が僕の好物と思いこんでいるようでした。退院して時が過ぎても、あの人の中の時計はそのまま止まったままなんだなと感じ、なんだか言葉にできない思いが湧いてきました。



帰り道、おばあちゃんに連絡をする。声を聞くといつもどおり元気な声で晩御飯のメニューを言ってくれる。せめて僕がこの家にいる間は、おばあちゃんに少しでも寂しい思いはさせないと、これから「実家」と呼ぶようになる古いマンションを見上げて誓いました。