(先週だけど)今週のお題:忘れられない出来事

今年初め頃の話。

うちの職場には雀卓があるので、仕事終わりにはみんなして麻雀をするのが一日を締めくくる行事となっている。

そんなある日、東場四局目を私があがり親だった私の一本場。またYouHeiの勝ちかよーという上司の嘆きとともに洗牌してたその時、いきなり窓の外からドカーンと大きな音が聞こえたと共に女の子の悲鳴が。

また事故ちゃうかぁ!?と上司が叫び、一緒に窓の外を見てみると、下半身が車の下敷きになっている女の子が。女の子のそばには友達であろうこれまた小さな子が「死んじゃう!死んじゃう!」と悲鳴にも聞こえる叫び声をあげていました。

ただごとではないと思った上司が僕に「救急車呼べ!あと警察もや!」と怒鳴り、上司はすぐにセンター長と一緒に女の子のそばへ駆けつけていました。

僕はすぐにケータイで救急車と警察に連絡をし、ヤジウマでごった返す交差点で「止まらんとはよ行ってください!危ないですよ!」と叫んでいました。

しばらくすると救急車が到着し、ストレッチャーに乗せられた女の子が車内に運ばれて行きました。しかしなかなか出発しません。どうやら搬送先の病院を見つけるのに手間取っているようです。警察の方もなかなか来ず、結局女の子が搬送されてからようやく到着しました。

こうなるともう職場は麻雀どころではない。僕も心配になり、事故現場のおまわりさんに発見時の車の位置と、女の子の倒れていた様子を詳しく説明しました。その時初めてみたのですが、女の子を轢いた車のドライバーを見ました。歯をガチガチ震わせていて、尋常じゃない心持なのは僕にも察せられるところでした。そんな当事者に警察官が厳しく事故当時の状況を聞いていたのが印象的でした。

その後、女の子が搬送された病院が分かり、僕はすぐその病院に向かいました。その病院は僕も小さい頃、よく熱を出したり下痢をしたりするとすぐ行く病院で、おばあちゃんも入院していたことがあったので、だいたいどこら辺の処置室にいるかはすぐに分かりました。

で、処置室の前では轢かれた女の子のお母さんとお父さん(最初あまりに恰幅が良く風格があったので刑事さんかなと思いましたが)がおられて、その場に轢いたトラックの運転手もいました。とにかく運転手は謝ることしかできず、ずっと伏し目がちで思いつめたような表情をしてましたが、女の子のお父さんに諭されて病院を出て行きました。

そこで「はじめに通報した者です。作業所のメンバーの…」と自己紹介しました。するとご両親ともにあんまりにも恐縮されるので僕のほうが恐縮してしまいました。

とにかく女の子は無事なのかが気になって聞いてみたのですが、なんと、その女の子はダウン症らしく、口がきけずにただ泣きわめくばかりだということだったのです。頭を強く打ったらしく、今CTで脳に損傷がないかを調べているとのことでした。

後日、作業所へ行くと上司が「昨日の親御さんから差し入れがきてるで」とのことだったんでなんだろうと思っていたら、アンリシャルパンティエのクッキーでした。クッキーよりも女の子の方が気になるんですが、いかんせん連絡先などを聞いていなかったのでその後のことは知る術もありませんでした。


たった一瞬の不注意が招く事故の悲惨さ、惨さ。車社会に生きているわれわれ日本人が忘れてはならないことが今回の事故が雄弁に物語っているように思えます。